集団的自衛権行使容認(解釈改憲)の閣議決定について。(追記あり)
EMERGENCY!!
「CIVITAS × SASPL 解釈改憲反対抗議行動 @ 首相官邸前 6月30日 18:30 〜」
安倍政権は7月1日に集団的自衛権の行使容認のための閣議決定を行う方針を示しました。今回の問題は特定秘密保護法というシングルイシューで行動しているSASPLの範囲外とは「言えません」。特定秘密保護法と集団的自衛権行使容認がセットであることは、a. 特定秘密保護法の目的が国家の安全保障であること、b. 集団的自衛権行使容認によって日本国の対外行動など秘密の内容が増えること、c. 特定秘密保護法の曖昧性から集団的自衛権の行使容認についても不明なことが無限に増える可能性があること、これらのことからも明らかです。
そのためSASPLは6月30日に官邸前で行われる解釈改憲反対抗議行動に賛同し、共に抗議します。その主な理由は以下の通りです。
①近代民主主義(=立憲民主主義)の理念に反していること
まず立憲主義とは「憲法は国民ではなく国家権力を縛るもの」ということを示すものであり、このことによって権力が暴走することを防ぐことを目的としています。しかし、今回の集団的自衛権容認の一連の流れにおいては「権力側が」憲法を解釈しようとしており、このことは(自らにかけられた縛りを自らが解くという意味で)立憲主義と根本的に矛盾していると言わざるを得ません。また安倍首相は国会答弁の中で「最高責任者は私です。」と発言しましたが、この発言は、a. その「多数」の意思も間違う可能性があり実際ナチスドイツなど歴史上そうした間違いが惨憺たる結果を生んでいること、b. 立憲主義がそうした歴史の上に成り立っているものであること、この2点を理解していないことを表していると言えます。
とはいえ、立憲主義は「憲法を改正してはならない」ということを直接意味しているわけではありません。しかしそのためのプロセスを現行憲法は明確に定めており(憲法第96条)、その意味で私的諮問機関に過ぎない安保法制懇内での議論に終始し、国会における熟議を重視していない今回の一連の審議過程は、憲法改正のために本来必要なプロセスを経ていないのみならず議会制民主主義の根幹すらも揺るがすものです。また、権力が行政に集中してしまうという意味で三権分立の原則をも否定していると言えます。
これらのことより、今回の一連の流れからは「立憲主義」「三権分立」などの近代民主主義の理念に対する根本的な無理解・不誠実を読み取れます。
②日本の安全保障が脅かされる可能性があること
集団的自衛権の行使容認は、国民の命を守る(安全保障)ために必要だと説明されることがあります。しかし、集団的自衛権の行使容認によって、逆に日本の安全保障が脅かされる可能性があることを指摘します。
現在の日本は個別的自衛権が認められており、日本が攻撃を受けた場合には反撃をできることになっています(これについては様々な議論がありますがここでは割愛します)。しかし、日本政府は「密接な関係にある他国」が攻撃を受けた場合にも反撃をする権利を容認しようとしています。
日本政府は、むやみに戦争をすることはなく限定的にしか容認しないと説明していますが、与党が提示している新三要件は拡大解釈可能なものとなっており、具体的な歯止めも示されていません。また、日本政府がこのような場合で行使が可能とした15事例もあり得ないような設定だらけであり、国際法においても無理があるものです。安倍首相が子どもと母親の絵を使ったものはその代表と言えます(参考:水島朝穂(2014)「虚偽と虚飾の安保法制懇:『背広を着た関東軍』の思考」 、『世界』(858) pp. 98-110)。
更に、米艦の護衛や機雷の撤去・ミサイル迎撃など安倍首相が挙げる事例のほとんどは、相手国からしたら日本の「先制攻撃」ということになり、日本への「反撃」が正当性をもった権利として行使すると考えられます。つまり、これらの事例が実現してしまった場合、日本が他国から攻撃を受ける可能性が非常に高くなり、日本国民である自衛隊の命・民間人の命が危険にさらされる可能性を高めることになります。
これらのことから、集団的自衛権の行使容認は、「日本国民の命を守る」どころか、日本が戦争に巻き込まれる可能性を無駄に高め、国民の命を危険にさらすものであると考えられます。
③国際社会全体の緊張関係を高めること
安倍首相は「国際社会と協調しながら世界の平和と安定、航空・航海の自由といった基本的価値を守るために」、集団的自衛権の行使容認が必要だということを国民に訴えました(平成26年5月15日安倍内閣総理大臣記者会見)。
しかし、そのような状況の中、集団的自衛権の行使を容認する事は、日本が武力行使の領域を広げられることを示すことになります。それは、北東アジアとの緊張関係を高め、他国の軍拡を正当化させる理由を与えます。現在では特に中国脅威論が懸念されていますが、集団的自衛権行使容認によって脅威を抑制するどころか、さらにリスクを高めてしまうのではないでしょうか。さらに、それは東北アジアにとどまらず、同様に国際社会全体の中でも軍拡を正当化させることにつながりかねません。
二度の大戦、そして核戦争の脅威が具現化しそうになった冷戦を経て国際社会が向かっている方向性は、軍拡や抑止ではなく、軍縮・戦争の予防です。その中でも戦後70年近く日本は「平和国家」としての歴史を重ね、世界の中でもその役割は認められ、「平和憲法」を持つ日本がアジアの安全保障の確保に役立ってきたという評価もうけています(武力紛争予防のための世界行動提言・日本語版(PDF形式・388KB) p.20)。しかし集団的自衛権行使容認は「世界の平和と安定」に貢献するどころか、逆に不安定にさせかねない非常に危険な決定です。今、「世界の平和と安定」に貢献するために求められていることは、集団的自衛権の行使ではなく、世界の軍縮と紛争の予防のために「平和国家」としてリードしていくことではないでしょうか。
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これら3つの理由に加え、例えば日本が他国の戦闘に参加する事によって日本製品がボイコットされることや、日本企業の海外進出が難しくなるなどの経済的な損失が考えられます。さらに安倍首相は集団的自衛権行使容認の理由の一つに国際協力を行うNGOの確実な保護を挙げていますが、JVC(日本国際ボランティアセンター)も表明しているように他方でテロ組織による報復の矛先と成るという意味で逆に危険にさらされるという指摘もあります。
このような問題点を数多く含む集団的自衛権の解釈改憲による行使容認を認める事は決して出来ません。SASPLとしてSASPLらしく、バッチリお洒落して抗議していこうと思ってるんで、そこんとこよろしくお願いします。
To All Citizens in Japan,Tell Me What Democracy Looks Like?
最後に
「主権。国家の政治を最終的に決定する権利は国民にある。政治をやるのは俺らひとりひとりだ 政治が腐ってるとかよく言うけど、腐ってんのは他でもない国民、 俺ら全員だ。だから少しずつでも声を上げて変えていかなくちゃならない。このクソな現状を。」 「もし集団的自衛権が閣議決定されて 戦争に巻き込まれたら 死ぬのは戦争を始めた政治家じゃない。戦争なんかしたくもない国民が死ぬんだ。人が死ぬんだ。よく考えろ。これは俺たち全員にかかわる問題だ。いいか、クソなことにはNOだ。六月三〇日官邸前抗議、十八時半から。」
「絶対来いよ。」
〜〜追記〜〜
赤旗しんぶんに掲載されました。(2014/7/11)